平成29年度着任の妻藤(さいとう)先生は、図画工作科における「鑑賞」教育に力を入れて来られた方です。今回は岡山理科大学教育学部での図画工作指導に対する意気込みを語って頂きました。
妻藤 純子
鳥取大学大学院 修士課程 修了 修士(教育学)
専門は美術教育。
鳥取県内の公立小学校教諭、および鳥取大学附属小学校教諭、主幹教諭、鳥取大学教育支援機構教員養成センター兼務教員等を務める。
平成29年4月より、教育学部初等教育学科准教授。
教師の最も重要な仕事は、子どもに学ぶ力をつけることです。学ぶ力をつけるためには、授業を如何に構築するかということにかかっています。図工の授業では、まず「何を制作するか」「何で制作するか」等、子どもの実態と学習目標に照らし合わせたテーマ設定と授業構成を考えます。授業を組み立てる上で重要なことは、子どもの思考過程や活動の様相、そして、危険場面等、あらゆる事象をあらかじめ想定することです。そこで、実際に作品を制作してみることで、子どもの立場に立って造形活動をイメージする力、そして授業を見通す力を身につけます。体験することで見えてくることは、たくさんあるのです。同時に、実技指導の実際と道具等のスキルアップを図ることで、幅広い実践力を育てます。
子どもたちは、学校で楽しく学びたいという願いをもっています。新しいことに出合ったり、わからなかったことがわかったり、できなかったことができるようになったりすることは、子どもにとって喜びとなります。喜びを感じるからこそ次の学びへの意欲に繋がるのです。しかし、その過程において、つまずくことは多々あります。つまずきの原因を的確に見極め、子ども自身が自己解決できる糸口を与えられる力が教師には必要です。実技教科は、得手不得手が自分にも他者にも顕著に見えてしまう教科でもあります。図工科においても、現時点での自分の様相と他と比較してしまうことで意欲を失うこともあります。だから、学校現場では作品の出来栄えではなく、制作過程での気づきや学びを重視しています。子どもの発達段階を理論的に学ぶとともに、造形活動や作品に直接触れることで、子どものつまずき、それを解決するための糸口を考えていきます。