研究内容
太宰治を中心に昭和の文学を研究しています。太宰治といえば、波乱含みの私生活や『人間失格』に代表される「苦悩する作家」というイメージが強いかもしれません。しかし実際には、小説の書き方(方法論)において非常に前衛的な実験を繰り返した作家でもあります。これまでの研究では、太宰が海外の詩の理論などを取り入れることで、それまでの「小説」という枠組みをいかに壊そうとしたのかを分析してきました。現在はさらに研究の対象を広げ、大正時代の佐藤春夫や芥川龍之介の作品にも注目しています。彼らは探偵小説や映画の手法を作品に取り入れていますが、そこには共通する「詩的理念」がありました。そうした試みが、のちに書き手となる太宰へとどのように受け継がれたのか。この三者のつながりを軸に、当時の文学の流れを明らかにしようと試みています。あわせて、戦時や占領下の言論統制の中で、太宰たちが作品にどのような社会へのメッセージやジェンダー観を潜ませていたのかについても探っています。
受験生へのメッセージ
文学に限らず、芸術や映画、漫画やアニメーションといったあらゆる表現は、歴史と社会の所産です。その背景にある時代の空気を緻密に読み解く力は、私たちが生きる現代を照らし出す知性にも繋がります。国語教員を志す皆さんには、こうした多角的な視点から作品を分析し、そこに込められた問いかけや面白さを、自らの言葉で生徒に手渡せる力を養ってほしいと考えています。教室という場で文学を語るための確かな素養を、共に育めることを楽しみにしています。
略歴
中学・高校教員や國學院大學非常勤講師を経て2020年4月より香川高等専門学校講師、2025年9月より教育学部中等教育学科国語教育コース講師。
E-Mail
n-noguchi
ous.ac.jp