岡山理科大学 教育学部

教員インタビュー教員インタビュー

インタビュー10 紙田 路子

 10回目は、社会科教育法の紙田先生です。紙田先生には、小学校の社会科が本当に目指しているものについて教えて頂きました。

紙田 路子紙田 路子

兵庫教育大学連合大学院 博士課程 修了 博士(学校教育学)
専門は社会科教育学。
島根県内の公立小学校勤務の傍ら、平成17年より兵庫教育大学大学院修士課程、平成24年より同博士課程にて研究を重ねる。
平成28年4月より、教育学部初等教育学科専任講師。

「社会科」ってどんな教科だったかな?

 皆さんは小学生のころ、社会科でどんな勉強をしていたか覚えていますか。「そういえば町探検をした」「お店の見学にも行った」「昔の道具について勉強した」・・おそらく何かを「体験」したことは覚えている、しかし「何がわかったのか」は覚えていない・・あるいは、とにかく歴史人物の名前や年号を覚えるのが大変だった・・・そのような印象を持つ方が多いのではないでしょうか。

「社会科」は社会認識を通して民主的資質を育成する教科です

 現代社会は価値多元化社会です。様々な社会問題に対する判断について、唯一絶対の根拠となるような価値観は存在しません。どんな価値に基づいて判断を下すかは個々人の判断に委ねられており、その結果生じる様々な判断を社会全体で調整し、より望ましいと考えられる方向へ調整していくのが、民主的な方法です。「社会科」とは、他から押し付けられたり、ましてや強制されたりするのではなく、社会問題に対して個々が主体的に判断できる力を育成するための教科なのです。

社会科は「当たり前」のことの意味を問う教科です

 「人々は自発的に行為を選び取っているように見えながら、結果的には当該カテゴリーの及ぼす社会統制に従属し、自分のアイデンティティに縛り付けられているのである」と、ある社会学者はいいます。「ごみは分別しなければならない」「道路は右側を歩かなくてならない」・・・私たちの生活はこのようにたくさんの「~べき」や「~しなければならない」の制約を受けています。こうした「当たり前」のことの意味を問いかけていくのが社会科です。自分の生活がどのような文脈の中に位置づけられているのか知ることで、自分で自分の生活をコントロールできる度合いが増す・・・つまり主体的に判断できる資質を育てるのが社会科のねらいです。

子どもといっしょに,探究できる先生になろう!

 学生の皆さんには、身の回りの様々な出来事を子どもといっしょに探究できる先生になってほしいと思います。「なぜ」「どうして」と追い続ける姿勢を持ち、なおかつ科学・技術リテラシーを有する先生は、子どもの気づきや発見をより広い世界への理解や、より深い理解に導くこともできます。社会科で培われる社会認識や探究の姿勢は、よりよい社会の構築につながっていきます。選挙権が18歳以上の国民に拡大された現在、ますます「自ら考え判断する」能力の育成が求められています。ぜひ、子どもたちに「学ぶことの楽しさ」を伝えられる先生になってください。

 社会科教育法では「なすことによって学ぶ」ことを重視します。社会科でまず必要なのは、身の回りの出来事に「気づく」ことです。そのために、フィールドワークや見学、インタビュー活動など、何よりも「体験」を大切にしたいと考えています。また、子どもの思考を科学的・論理的なものに導いていくには、その土台となる「知識」も必要です。具体的には、実際の授業を取り上げながら、これまでに構築されてきた社会科教育法や教材の組み立て方、発問構成などを学んでいきます。もちろん「実践」も重視します。実際に指導案を作成し、模擬授業を行い、互いの授業について意見を述べ合う中で、授業力を身に着けるだけでなく、「よい授業とは何か」を分析できる目も養っていきます。

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